揚げ油におまじない

串かつ

 揚げ物を美味しそなうな色に仕上げるのには、おまじないのように古い油を大さじ1ほど加えればよいと教わりました。
 せっかくの新しい揚げ油に古い油を入れることには抵抗があり、ほんとかなぁ?と半信半疑でした。

 先日読んだ本(※)に納得の答えが書いてあったので、古い油を加えることはおまじないではないと知りました。
 揚げるということは本質的に脱水させることと同じで、熱した油に食材を落とすと食材の外側にある水分がすっかり蒸発して、その水蒸気が油と食材の間に薄いバリアーを作るそうです。

 新しい油はそのバリアーを破れないので、古い油はバリアーを破って食材の中に入り込み、早く美味しそうな色に揚げてくれます。
 とはいえ古い油は酸化しているので身体によい訳はなく、古い油を入れるのはCup1の新しい油に対して大さじ1で十分らしいのですが、油の仕組みを知って納得しました。

 ちなみに、揚げ物の研究者は油の一生を5段階にわけていています。

1. 未使用の油:  ブレイク・イン
2. 新しい油:   フレッシュ
3. 最適な油:   オプティマム
4. 劣化中の油:  ディグレイディング
5. くたびれた油: ランナウェイ

1・2の油は、天ぷらをカラッと色白に。
3は、ポテトなどのフライをこんがりと。
4・5は、処分した方がよさそう。

 調理や食材の基本的な仕組みを知ればレシピがなくても、裏技がなくても、料理への応用は自由自在という文言にはかなり納得できました。

※ 理屈で攻める、男の料理術【食材と調理法の基本をきわめる】
ラス・パースンズ 忠平美幸 訳